和紅茶のアールグレイを飲んだことがありますか。
「紅茶はアールグレイを飲む」
という人は多いと思います。
紅茶はなんですか、と言われると、なぜか
- ダージリン
- アッサム
- アールグレイ
と並ぶほど、アールグレイは知られている紅茶です。
これだけ多くの人たちに親しまれているアールグレイですが、和紅茶になったらどうなるのでしょうか。
今回は、アールグレイのおさらいと和紅茶との相性の話を紹介します。
アールグレイとは
最初に、アールグレイそのものについておさらいをしていきます。
多くの人たちに知られている紅茶ですが、その特徴が正しく知られているとは言い難いです。
「なんとなく、いい香りがする紅茶」
そういう認識の人も多いようです。
ダージリンやアッサムなどと「紅茶の代表」として扱われます。
ですが、この2つとは違うタイプの紅茶なのです。
最初に、アールグレイについてご紹介します。
アールグレイの歴史
名前の由来については、一般的にこの様に説明されています。
『アールグレイの名は第2代グレイ伯爵チャールズ・グレイに由来すると言われる』
ただ、きっかけについてはいろんな説が紹介されているようです。
- ある外交官から中国の着香茶を贈られたグレイ伯が、それを気に入り類似品を茶商に作らせた。
- グレイ伯が中国に赴任した際、グレイ伯自らが考案した。
- 中国において、グレイ伯の部下が中国の高級官僚の息子が溺れているのを助け、そのお礼としてアールグレイの製法を教わり、イギリスに持ち帰った。
- 同様に、グレイ伯の部下が虎に襲われたマハラジャの息子を助け、そのお礼としてアールグレイの製法を教わった。
- グレイ伯が気に入った香港の紅茶の味を、ベルガモットのフレーバーを用いて再現した。
ただ、これらの説にも色々疑問符がつくそうで、実際はどう変わりません。
さらに、グレイ伯がアールグレイの開発を爵命じたという伝承の茶商をめぐって、ジャクソン社とトワイニング社が元祖争いを起こしたことがあるそうです。
最終的には、1990年ごろジャクソン社はトワイニングと合併し元祖争いは終結したそうです。
興味があるかたは、ぜひWikipediaやその他の参考資料を御覧ください。
(参照:Wikipedia:アールグレイ)
アールグレイの特徴
一番の特徴は、香りです。
柑橘類のベルガモットを紅茶に香り付けしたものが、アールグレイと言われています。
「言われている」と書いたのは、ベルガモット以外の柑橘類を使って作ったアールグレイがあるからです。
使用してる人で「他のアールグレイと似たような柑橘類を持ってるのでそれで試してみた」という例があるようです。
ただ、わかりやすいレモンなどの柑橘類は流石に使わないようです。
他にも複数の柑橘類を混ぜて香り付けをしていたりします。
そのため現在販売されているアールグレイは「ベルガモットを始めとする柑橘類を着香した紅茶」と言っていいでしょう。
ただ、定義上の話ではなく、運用上の話なので「アールグレイはベルガモット以外の柑橘類も使ってる」と自信たっぷりに言うと白い目で見られるので気をつけましょう。
和紅茶とアールグレイの親和性
次に、和紅茶のアールグレイにたどり着くまでの話をご紹介します。
アールグレイにするということは、上記の説明からベルガモットを始めとする柑橘類の香りを紅茶に付ける必要があります。
紅茶なら何でもOKかと言うとそうではありません。
つかう和紅茶の特徴を掴み、的確な紅茶を選ばないと、非常に飲みにくい紅茶に仕上がります。
まずは和紅茶の特徴を知り、そしてアールグレイにするための話を紹介します。
和紅茶の特徴
ここでは、和紅茶そのものについての説明をします。
詳しく知りたい方は、和紅茶についての記事を書きましたので、そちらを御覧ください。
和紅茶とはなにか:https://manager-room.kyo-kure.com/archives/14279/
アールグレイとの相性を考えて、和紅茶のタイプだけを紹介します。
味のタイプは大きく3タイプあると言われています。
こちらは、佐賀県の和紅茶専門店紅葉さんの分類をもとにしてます。
- 滋納:渋みがすくなく、うま味を持った紅茶
- 清廉:香りが華やかで、渋みを持った紅茶
- 望蘭:味や香りが濃く、海外の紅茶のような紅茶
柑橘類の香りと混ぜるということは、紅茶そのものの個性がつよすぎると扱いにくくなります。
(とか言いながら、サロメチール香のするウバをアールグレイにしたという紅茶専門店もあります)
清廉はストレートで、望蘭はミルクティーにするのが向いてます。
(望蘭をストレートで飲む人もいますので、淹れ方次第です)
滋納はストレートで飲むのに向いてますが、一般的なイメージの紅茶とかけ離れている為、紅茶として物足りなさを感じる人も多いです。
和紅茶をアールグレイにすることについて
滋納の和紅茶の、この「いまひとつさ」は、他に何かを合わせるときに長所になります。
例えば食べ物との相性はいいです。
同じ様に、レモンティーにするといいです。
滋納の和紅茶をレモンティーにすると清廉や望蘭でレモンティーにするときに感じる渋さやえぐさを感じません。
以上のことから、滋納の和紅茶がアールグレイに向いています。
自作したいと思う人は是非試してみてください。
「他にもたくさんあるんだから、和紅茶でわざわざアールグレイを作らなくても」
そのように思う人も多いでしょう。
ここでの話は、製品としてのアールグレイの他に、自分でアールグレイを作ってみる、ということの紹介です。
ベルガモットは、果物そのものを必要としません。
例えばベルガモットオイルという香り付けの香料を使うことでも作れます。
さらに、ベルガモットオイルとスーパーで買ってきたグレープフルーツなどの柑橘類を使ってオリジナルアールグレイも作れます。
この様に、自分でアールグレイの楽しみを増やすことに繋がります。
これもすべて、個性の薄い和紅茶を使うことで実現できることです。
和紅茶のアールグレイの紹介
次に、実際に商品として売られている和紅茶のアールグレイを紹介します。
基本的に、和紅茶のアールグレイは紅茶も使う柑橘類も季節物です。
そのため、販売中止中の場合もあります。
実際にサイトに行ってみて確認をしてみてください。
和紅茶のアールグレイの紹介1:東京紅茶アールグレイ
東京都東大和市の木下園製茶工場さんが販売してる「東京紅茶」のアールグレイです。
東京で作られた紅茶としてお土産としてファンを増やしている「東京紅茶」に、ノーワックス・減農薬の国産ベルガモット果皮を混ぜて作ってます。
オイルを添加するタイプではないので、作って日が浅い間はベルガモットの香りが少なめです。
ですが、茶葉にベルガモット果汁が結晶の様にくっついており、ジューシーさを感じます。
製造から半年以上経つと、ベルガモットの香りが高くなります。
紅茶の香りを重視しベルガモット香りをほのかに楽しみたい方は、購入後早めに飲まれることをおすすめします。
一方で、ベルガモットの香りが濃くジューシーなアールグレイを楽しみたい方は、多めに購入して半年・一年越しでお楽しみください。
東京紅茶:東京アールグレイ:https://tokyotea.official.ec/items/27095823
※限定発売のため、売り切れの場合があります。
和紅茶のアールグレイの紹介2:嬉野アールグレイ
佐賀の和紅茶専門店「紅葉」さんで販売しているアールグレイです。
お店と同じ佐賀県の嬉野市で作られた和紅茶で作ったアールグレイです。
和紅茶が穏やかで優しい味わいで、そこに柑橘類の香りを載せたことで、奥行きの深いアールグレイに仕上がってます。
毎年販売されていて、全国多くのファンがいることで知られています。
和紅茶専門店紅葉:嬉野アールグレイ:https://creha.net/products/detail/29
最後に
今回は、和紅茶のアールグレイについて紹介しました。
もう一度確認しておきます。
アールグレイは、紅茶に香りをつけた着香茶です。
紅茶の種類ではありません。
ダージリンやアッサムのような産地ではありません。
乱暴に言えば、紅茶にベルガモットのような柑橘系の香りをつければアールグレイです。
そのため、和紅茶でアールグレイを作ることができます。
この手軽さから、和紅茶を作ってる農家さんが、自前の柑橘類を混ぜて自前アールグレイを作ることがあります。
近い将来農園ごとの和紅茶アールグレイというものが登場するかも知れません。
そういう楽しみ方もできそうだと覚えておいていただければと思います。
初めてなら、和紅茶のアールグレイを試してみよう
和紅茶のアールグレイを飲んだこと無いという方は、ぜひベルガモットオイルを買ってみましょう。
そして、家で放置されている和紅茶に混ぜて飲んでみてください。
これだけでアールグレイは作れます。
同じ紅茶でも、アールグレイである場合とそうでない場合の違いを楽しめます。
紅茶で遊ぶことで、今までと違った楽しみ方を発見できると思います。
家にいることが多くなりがちになりますが、この様に簡単な遊びで楽しい時間を過ごしてみるのも良いかも知れません。