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紅茶は高いところからお湯を注ぐと美味しくなるというのは本当か

投稿日:2022年4月20日

紅茶は高いところからお湯を注ぐべき、と紅茶の淹れ方を教える人が多くいます。

実際、紅茶をおいしく淹れるコツとして、紹介してる人が多くいます。
ネットで検索しても、その様にヒットすることが多いです。

「紅茶 高いところから」での検索結果:https://www.google.com/search?q=%E7%B4%85%E8%8C%B6+%E9%AB%98%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%93%E3%82%8D%E3%81%8B%E3%82%89

ですが、紅茶を淹れる時、お湯を注ぐ位置を高くすることに意味があるのでしょうか。

実際に、両者を比較して動画やブログにしている人をあまり見かけません。

今回は、同じ紅茶を同じ条件で、そして違いはお湯を注ぐ時の高さだけにして違いを見てみます。
お湯を注ぐ高さで紅茶が変わって、しかもそうでない方よりもおいしくなるか確認してみます。

紅茶は高いところからお湯を注ぐと美味しくなるというのは本当か

紅茶は高いところからお湯を注いで淹れるべきか

今回は、紅茶を淹れる時のお湯の高さの検証をします。

検証をする前に、お湯を高いところから注ぐ意味を確認したいと思います。
そのあとで、実際に比較して、どのような違いがでるか見てみましょう。

お湯を注ぐ時の位置が高いことにはいろんな理由が挙げられています。
その理由が、紅茶を淹れる時の必須条件なのかという事を確認することは大事なことです。

紅茶は高いところからお湯を注ぐ意味の確認

最初に、紅茶を淹れる時、お湯を高いところから注ぐことの意味を箇条書きにします。

  • ポットにお湯を叩きつけることで空気を含ませる
  • 酸素が多いと茶葉ジャンピングする
  • 茶葉がジャンピングすると美味しい紅茶になる

つまり、低い所からお湯を注ぐとその様にならないため、高いところから注ぐほうが美味しい紅茶になる、ということらしいです。

今回は、この条件に合うように、高さを大きく変えて淹れる必要があります。
高くからお湯を注ぐ紅茶の淹れ方、ポットの縁からお湯を注ぐ紅茶の淹れ方の2種類です。

次に、その違いを実際に動画で確認しながら見てみましょう。

実証:ポットにお湯を注ぐ高さで比較

この動画では条件を合わせています。

  • ポットを同じにする
  • 茶葉を同じにする
  • 茶葉の量を同じにする
  • お湯の量を同じにする
  • ティーコージーを同じにする
  • 抽出時間を同じにする

以上の条件を揃えて、違うのは、お湯を注ぐ高さだけにしました。

紅茶は以下の量で淹れました。

  • 茶葉:5g
  • 湯量:450cc
  • 抽出時間:5分
  • ポット:ガラス
  • ティーコージー:メジェド

動画で説明されていることを、写真で切り出してこのブログで説明したいと思います。
お湯を注ぐ高さに関しては、動画を御覧ください。

注いだ直後比較

紅茶は高いところからお湯を注ぐと変わるか、直後

ティーポットは以下のとおりです。

  • 左側:高いところからお湯を注いだ紅茶
  • 右側:ポットに添えてお湯を注いだ紅茶

左側は、お湯を注いだ時から茶葉が激しくぶつかり合ってました。
お湯を注ぎ終えた時には、上部下部ともに半々ぐらいに茶葉が分かれていました。
そして互いを行き来するようにジャンピングが起こってました。

右側は、お湯が茶葉を巻き込むようにすべての茶葉を上部に持ち上げました。
写真の状態では茶葉がゆっくりをお湯を吸い込み動いています。

5分淹れた直後比較

紅茶は高いところからお湯を注ぐと変わるかの茶葉を抜く前比較

お湯を注いで5分後の紅茶です。

左側の高いところからお湯を注いだ方は、茶葉が完全に落ちきつきました。

右側のポットに添わせてお湯を注いだ方は、若干茶葉が動いてます。
ですが、茶葉を抜いている時に、動きは止まりました。
茶葉が落ちきる直前だったようです。

色目に違いが見えます。
ですが、実際に紅茶を飲む時には大差がないことが次に証明されました。

茶葉を取り出したあと比較

茶葉を取り出した後

次に、茶葉をポットから取り除いた紅茶を比較しました。
左側も右側も、色目に違いが見られません。

ともに同じ様に紅茶は入りました。
違いがあるとすれば、最初にここに違いが出るでしょう。

見ている皆さんの目にはどう映るでしょうか。

紅茶は高いところからお湯を注いだ紅茶との比較

実際に紅茶を飲み比べてみた様子を紹介します。

色目が違っても、香りも味も違うと言うのはよくあることです。
実際飲んで見るまで紅茶はわからないものです。

そこで、3つのポイントで比較しました。

  • 水色
  • 香り

どの様になったでしょうか。

水色

紅茶の水色は、ともに明るめの赤橙色です。
カップに注いでも変わりませんでした。

高い所からお湯を注ぐのは雑味が出ないようにするためと言われています。
ですが、色目で確認するに、その違いは見られません。

香り

紅茶の香りは、ともに、少し青めで華やかな香りでした。
そして、少し甘い蜜のような香りがありました。

高い所からお湯を注ぐのは余計な香りが出ないようにするためと言われています。
ですが、香りで確認するに、その違いは見られません。

紅茶の味は、ともに渋みがきっと効いた華やかな味でした。
そして、あとから、甘い香りが戻ってきました。

高い所からお湯を注ぐのは余計な雑味が出ないようにするためと言われています。
ですが、味で確認するに、その違いは見られません。

最後に:紅茶は高いところからお湯を注いで

多くの紅茶教室で「紅茶を淹れる時は高い位置からお湯を注ぎましょう」と言われています。

ですが、実際に飲む側から淹れて確認してみた結果、大きな差が見られませんでした。

「紅茶の淹れ方」にはこの様に、実際に淹れても差が出ないもの、確認されないものが多くあります。
それは、すでに「紅茶の淹れ方の型」として決まってるので、その様に淹れましょう、ということなのでしょうか。

淹れ方の型に合わせるも合わせないも、個人の自由かと思います。

ですが、誰でも再現できる条件の違いで紅茶の味は変わります。
例えば現在以下のような条件が挙げられます。

  • 気圧
  • お湯の温度
  • 水の硬度

これらは、誰でも観測ができて、誰でも再現性がある条件です。
このような条件下において味が変わることならば、それは「紅茶の淹れ方、ルール」などと定義するのは良いでしょう。

ですが、定量として測れないものに関してルール化するのはいかがかと思います。
こういう点に目を向けて、自分の紅茶の淹れ方を考えてみることが良いでしょう。

結論:注ぐお湯の高さでは紅茶は変わらない

今回の検証に置いて、お湯を注ぐ高さで紅茶の味は変わらないことがわかりました。

お湯の温度も1℃未満程度であれば差が無いこともわかりました。

差がないのであれば、高くから熱湯を注ぐ必要も無いでしょう。

今まで、熱湯を高くから注いで大やけどを負っていた人がたくさんいることと思います。
それは、多くの人達が「お湯を高くから注ぐことは必須条件」と信じていたからです。

変わらないならば、安全をとりましょう。
自分の体は大事です。
自分の身の安全を犠牲にしてでも、熱湯を注ぐ高さというのは必要でしょうか。

紅茶とは、安全に、美味しく、楽しむことが、一番だと思いますが、皆さんはいかがですか?

お湯の注ぎ方を変えた紅茶をカップで比べてみる

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