京都の和紅茶のお店を知る前に、和紅茶とは何か、ということをご存知でない方はこちらを御覧ください。
全国的に、和紅茶の知名度が上がってくると多くの人がこう思います。
『”和”紅茶だから、京都にいけば美味しい和紅茶が飲めるだろう』
多くの人がイメージする京都=京都市では紅茶のお店が20以上あります。
ですが、ほとんどの紅茶専門店は、海外の紅茶を扱う店で、和紅茶を扱っていません。
実際のところ、京都の紅茶専門店の始まりが紅茶教室であることが多いからです。
多くの紅茶教室は、日本で紅茶が作られなくなってから出来たものです。
結果として、和紅茶が紅茶専門店で扱われる事が無いのです。
京都は土地柄、新しい外のものを積極的に取り込もうとする傾向があります。
例えば、古くは大陸の文化、欧州の文化などです。
外のものを取り込むという代表的な物に、コーヒーとパンがあります。
実は、京都は日本トップクラスのコーヒーとパンの消費地です。
京都=和のイメージを持ってる人たちにとっては意外に感じるでしょう。
そのため、京都の人という性質から「和」紅茶という和のイメージを持つ紅茶は、積極的に受け入れようと言う対象ではありません。
それを踏まえて、「京都の和紅茶」というものを追いかけてみましょう。
京都の和紅茶ってなにか
京都で生産した茶から作られる紅茶が、京都の和紅茶です。
近隣の滋賀県、奈良県、三重県、でも紅茶を作っています。
そして、各々の地域で作られた紅茶は、各々の地域の名前で売られています。
決して、宇治茶のように「宇治紅茶」とまとめられることはありません。
つまり、宇治茶の和紅茶が、京都の和紅茶ではありません。
理由は、次に説明します。
京都は『宇治茶』の産地です
先に宇治茶の話をしました。
お茶に詳しい人は、「宇治茶≠京都のお茶」ではないことをご存知です。
定義に付いては、京都府茶業会議所さんのWEBサイトにて公開されています。
宇治茶とは、京都・奈良・滋賀・三重で生産された茶葉を主として、京都府内業者が府内で仕上加工したものです。
つまり、宇治茶⊃京都のお茶、ということになります。
京都のお茶という範囲は、宇治茶という範囲の一部になります。
そのため、「宇治茶=京都のお茶」ではありません。
京都のお茶は、あくまでも、宇治茶の一部です。
最近抹茶が増えてきた。紅茶はどうか
近年、世界的な抹茶ブームが起こってます。
宇治茶地域では、数多くの抹茶が生産されています。
抹茶と言われると、茶道で使うイメージが高いと思います。
ですが現在、多くの抹茶は、菓子などの加工品用として提供されています。
結果として、普通の緑茶を粉にした粉末茶を使うよりも、味も香りも高い抹茶製品が出来上がってます。
紅茶の生産は、このような、抹茶ブームが先行したため、他地域よりも遅れていました。
抹茶生産(原料の碾茶生産)の安定化が図れた茶農家さんや、他地域の和紅茶に魅了された茶農家さんが、この数年で紅茶づくりを始めてきました。
つまり、京都の紅茶というのは、まだ黎明期なのです。
こだわりの紅茶づくりをする人達が増えている
その黎明期の京都の和紅茶ですが、他地域と違う和紅茶を作ろうと模索している方が多いです。
広く作った紅茶を売りたいと思っているようですが、やはり「京都」というイメージに合う紅茶にしたいように感じます。
それは、京都で作ったお茶というイメージをあわせた方が今は買ってもらいやすいからです。
買って貰う人は京都府外の人達です。
そのため、買ってもらう場所が、京都市内始め京都の観光地です。
お土産の一つ、もしくはお茶の専門店の商品の一つとして置いてもらう、そう考えているようです。
そのためには、緑茶と比べて、違う個性が必要になります。
ですが、「京都の和紅茶」というイメージに沿った味や香りにしたいと思ってます。
結果的に、一般的な輸入の紅茶とは違うものが出来上がります。
それでも、少しでも美味しく飲める紅茶を、と工夫を重ねているようです。
京都の和紅茶の特徴
京都の和紅茶と書きましたが、まずは、『京都の和紅茶という統一された認識はない』ということを頭に入れておいて下さい。
紅茶は、同じ地域でも、隣同士の茶農家さんで味が違います。
それは、栽培の方法はもちろん、目指す紅茶の仕上げ方や味が違うからです。
その点を踏まえて、京都というイメージに合う和紅茶をご紹介します。
紅茶の味を「京都」というイメージに寄せようとしてる
京都の和紅茶として作ってる人たちの多くは、味や香りを「京都」というイメージに近づけようとしています。
- 渋くなく
- 香りが穏やかで
- 味が落ち着いた
まるで、日本茶のような紅茶です。
紅茶という風に出されるのですが、飲んでいる感覚は香ばし目の緑茶です。
むしろ、番茶です、と言ったほうが正しいと思います。
紅茶ではありません。
ですが、その風味が「京都らしい」ということで、それがそのまま「京都の和紅茶」として認識されています。
あまりにも紅茶らしくないので、その点はご注意下さい。
なお、京都の和紅茶の中でも、ちゃんと紅茶らしく作っている農家さんもいらっしゃいます。
「本当にそれが紅茶なのかどうか」は、飲んでみて判断して下さい。
落ち着いた印象が欲しい人向けの紅茶
上記の通り、京都の和紅茶は「紅茶らしくありません」。
ただ、悪いことばかりではありません。
- 渋くなく
- 香りが穏やかで
- 味が落ち着いた
これは、食べ物との相性が非常に良いのです。
食べ物は、和菓子や洋菓子などのデザートから、和食や洋食などの食事など、幅広く対応できます。
これはある意味、「京都らしい落ち着いた雰囲気の紅茶」と解釈することも出来ます。
実際、多くのお店は、紅茶だけでの提供よりも、食べ物との提供を勧めています。
京都といえば、京都の有名な料理を出すお店が多いです。
このように、名脇役としての紅茶を楽しむつもりで、京都の和紅茶を楽しんでみて下さい。
京都の和紅茶のお店
お店の紹介をしたいのですが、2つに分けて紹介します。
- 飲食店
- 購入店
厳密には、下記のお店は飲食店であると同時に購入店であることもあります。
ですが、アピールポイントをつけるために、あえて分けました。
こちらを参考に、京都の和紅茶のお店に是非行ってみてください。
京都の和紅茶が飲めるお店
京都で作られた和紅茶が飲める飲食店を紹介します。
お店に寄っては、茶葉の購入も出来ます。
お店に行って、ご確認下さい。
椿堂茶舗 茶房 竹聲
京都伏見稲荷の近所にある「椿堂茶舗」さんに併設された喫茶店です。
椿堂茶舗さんは日本茶専門店として有名です。
同時に、伏見稲荷に寄ったときの観光地としても有名です。
伏見稲荷から少し距離が離れているのですが、『京都に来たなら宇治茶を買いたい』という人を集めています。
徒歩の距離圏に、藤森神社があります。
こちらは、学問と勝負事にご利益があるとされています。
伏見稲荷に並ぶ有名な神社です。
同じ観光客の喧騒を離れて、落ち着いて京都を堪能したい、という方に人気です。
茶房竹聲は、表通りに面していないので、落ち着いた雰囲気でお茶を楽しめれます。
京都の和束の紅茶を提供しています。
他にも、静岡の和紅茶も置いてあります。
お互いの違いを確かめてみるのも面白いかもしれません。
麩屋柳緑(ふやりゅうりょく)
京都市中京区にあります。
新京極商店街や寺町商店街からも近く、京都市内観光のついでにも寄りやすい場所にあります。
こちらでは、南山城村の農作物を多く扱ってます。
そのため、南山城紅茶を飲むことが出来ます。
合わせて、緑茶も飲むことができます。
喫茶や飲食を併設しています。
なので、購入だけではなく、実際に味を試すことも出来ます。
かなり京都らしい落ち着いたお店なので、観光のルートの一つに加えることをおすすめします。
サー・トーマス・リプトン
日本で、「リプトン」の名前のついた喫茶店は京都だけです。
日本紅茶協会の認定店として知られています。
「京都で紅茶を飲みに行こう」と言われた時、最初に上がるお店でもあります。
こちらでは、和束産の京都の和紅茶を扱ってます。
デザートも料理も充実しているお店です。
なので、多くのペアリングを楽しめれます。
控えめな和紅茶を扱ってますが、食べ物との取り合わせで、一気に個性を発揮する紅茶です。
ぜひ、食べ物との組み合わせをお試し下さい。
キトゥンカンパニー
こちらは、ヴィーガン食のお店として有名です。
宇治田原産の和紅茶を提供しています。
落ち着いた軽食とともに楽しめます。
普通の紅茶専門店ではないコンセプトのお店です。
ちょっと違った雰囲気を楽しみたい方におすすめです。
京都の和紅茶が買えるお店
次に紹介するのは、京都の和紅茶を購入できるお店です。
一部飲食を併設しているお店もあります。
ただ、飲食でのメインが紅茶ではないので、今回は購入店として取り上げさせていただきます。
ともに、京都の観光地に近い所にあります。
観光のついでに、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
皐盧庵茶舗
この「皐盧庵茶舗(こうろあんちゃほ)」さんは、京都市でも北の方にあります。
大徳寺の中にあり、近所には今宮神社や建勲神社もあります。
皐盧庵さんでは農園を持ちお茶も栽培しています。
お店としては、煎茶や抹茶などが有名なお店です。
大徳寺近辺の観光で寄ることが多く、抹茶を楽しめるお店として知られています。
ここでは、宇治田原町で作られたお茶を楽しめます。
紅茶も同じお茶を使って作られています。
他の和紅茶とは違った風味の紅茶なので、ぜひ一度お試し下さい。
DEAN & DELUCA 京都
DEAN & DELUCAは、世国に店舗のある食のセレクトショップです。
その京都店で、京都の和紅茶が販売されています。
こちらの和紅茶は、和束の紅茶が扱われています。
なお、この店の建物は、元々銀行の建物でした。
(旧山口銀行京都支店(山口県の銀行ではない方で三和銀行になった大阪の銀行)→北國銀行旧京都支店)
京町家のカフェが多い中、銀行の建物を使った珍しい店舗です。
和紅茶の楽しみの他に、一風変わった建物を堪能してみて下さい。
京都ぎょくろのごえん茶 寺町店
ごえん茶さんは、販売のみのお店です。
上の2つがカフェも併設してましたが、こちらは販売のみです。
メインは京都で作られたお茶全般です。
デザインがカワイイので、パッケージ買いする人が多い店です。
ですが、中身は本格的な宇治茶ばかりで、お茶の種類が豊富です。
大袋で販売されているだけでなく、購入しやすい小分けパックも販売しています。
和紅茶も販売しているので、京都のお土産として立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
京都の和紅茶を楽しむために
ここまで、京都の和紅茶ということで、説明や紹介をしてきました。
前にも説明しましたとおり、宇治茶の紅茶は、京都の紅茶というわけではありません。
なぜなら、宇治茶は、京都だけにとどまらず幅広く適用されているからです。
更に、京都の和紅茶はそれほど多くありません。
京都では、抹茶や煎茶(かぶせ茶や玉露など)の販売に力を入れているからです。
それは、抹茶や煎茶などが従来の京都のイメージのお茶だからです。
その中で、京都の和紅茶、京都としてのイメージを合わせながら展開を模索しています。
このような展開の仕方を、京都の人たちの嗜好とラーメンとの話で説明することがあります。
『京風』と『京都の』の違いを明確に知りましょう
京都の雰囲気にあったラーメンを京風ラーメンといいます。
対して、京都の人達が好んで食べるラーメンを京都ラーメンといいます。
京風ラーメンは京都のイメージに合うあっさりとしたラーメンです。
対して、京都ラーメンは、京都の人たちの好みであるこってりとガツンとした風味に合うラーメンです。
京都だから京都の人は薄味であっさりしたものが好きだろうと思われがちです。
ですが実際は、コーヒーやパン食や濃いラーメンなどに代表されるような、かなり濃い味の料理が好きです。
そのため、現在「京都の和紅茶」というものは、京都の人たちが楽しむ紅茶として認識されていません。
京風を求める外の人達が楽しむ紅茶として認識されています。
本当の意味での『京都の和紅茶』の誕生を待ちます
今後、京都の紅茶を作る人が増えてくると、もっと変わってくると思われます。
今までの京都のイメージを変える「本当の意味での京都の人に好まれる紅茶」の登場です。
前にも説明しましたとおり、京都の人たちは濃い口が好きです。
つまり、京都の人が好む京都の和紅茶とは、必然的に濃い口になっていきます。
コーヒーに敵う紅茶はなかなかありません。
ですが、ドリンクとして模索をすることにより、その目的を達成できます。
そのような本当の意味での京都の和紅茶の登場が起これば、更に京都での和紅茶の提供環境が良くなるのではないでしょうか。
これからますます良くなっていくことを願ってます。