地紅茶とはなにか
このページをごらんの皆さんは、「 地紅茶 とはなにか」と思い、検索されてきた方だと思います。
地紅茶(Locally Grown Tea)という言葉は国産紅茶のことです。
1993年に作られた鳥取県の紅茶の会の代表である藤原一輝さんの提唱で始まりました。
そして、和紅茶・国産紅茶という認知とともに、「地紅茶」という言葉も一緒に知られるようになりました。
ただ、和紅茶・国産紅茶と地紅茶との違いが何か、いまいちはっきりしない方が多いです。
今回は、地紅茶という言葉に焦点をあて、日本で作られている紅茶というものを知っていただければと思います。
地紅茶について
地紅茶とは端的にいえば紅茶です。
日本国内では、日本で作られた紅茶を意味します。
ならば普通に「紅茶」と言ってしまえばいいですが、なぜ「地紅茶」と読んでいるのでしょうか。
それを順を追って考えてみましょう。
日本で紅茶が作られている事をご存知ですか
まず、皆さんは日本で紅茶を作られていることをご存知でしょうか。
地紅茶という言葉を知ってるということは、日本で紅茶が作られているという事をご存知であることでしょう。
日本では、明治維新後の殖産興業の一環として、紅茶を生産されてきました。
紅茶の生産目的は、欧米はじめ海外に輸出するためです。
日本国内で「紅茶伝習所」という施設を作り、それを全国に広げて行きました。
結果として、日本でお茶を大規模に作るところでは、大体紅茶を作るようになりました。
日本列島内だけではなく、植民地として得た台湾でも生産をしていました。
第二次大戦後も継続して紅茶生産が行われてきました。
戦後の主力輸出品でもあります。
ですが1971年紅茶輸入自由化とともに生産を終えることになりました。
今、紅茶を作っている農家さんは、自由化以前に研修を受けた人や平成元年以降紅茶づくりを始めた方々です。
2022年時点で大体820軒ぐらいで作られています。
地紅茶とはなにか
では、地紅茶とは何でしょう。
最初に紹介しました、紅茶の会の藤原さんはこの様に定義しています。
『地紅茶は日本国内では国産紅茶ですが、大きな意味で「地元で作ってる紅茶」という意味です。例えば、イギリスで作っている紅茶は、「イギリスの地紅茶」と言えます。』
過去に『地〇〇』という商品が流行ったことを覚えている方が多くいらっしゃるでしょうか。
有名なところでは、『地ビール』などはそれに含まれます。
地紅茶と定義づけることで、地元で作った紅茶を地元で愛され飲まれる紅茶として位置づけたい、という思いがこもっています。
全国の地紅茶
日本で紅茶を作っている事を紹介しました。
では、どの様な地域で紅茶を作っているでしょうか。
それを確認してみましょう。
日本の代表的な地紅茶産地
日本で作られている紅茶につきまして、前出の紅茶の会にて「地紅茶マップ」というものが毎年作られています。
参照:地紅茶マップ
それによれば、2020年時点で、北は青森県から南は沖縄まで作られています。
有名産地として、以下の地域が挙げられます。
関東:埼玉県、茨城県
中部:静岡県、岐阜県、愛知県
関西:京都府、奈良県、滋賀県、三重県
九州:福岡県、佐賀県、熊本県、宮崎県、鹿児島県
静岡県や九州の各県は茶業試験場があった都合、昔から生産が盛んでした。
しかし静岡県に関しては、静岡県が発酵茶ラボというものを作るまでは多くありませんでした。
紅茶自由化以後、緑茶に全リソースを振り、紅茶を手掛けている人は数限られていました。
発酵茶ラボを作ってから、一気に増えた地域です。
この地域で、Googleなどで「〇〇県 和紅茶」などと検索すると多くの店や農家さんが見つかります。
地紅茶として有名な国産紅茶
地紅茶として全国的に有名な国産紅茶はどの様なものがあるでしょうか。
最近有名になったところを含めて農家さん単位でご紹介します。
愛知県:
・ごとう製茶
京都府:
・和束紅茶
奈良県:
・月ヶ瀬健康茶園
福岡県:
・お茶の千代乃園
佐賀県:
・太田重喜製茶工場
(和紅茶専門店紅葉も有名です)
熊本県:
・お茶のカジハラ
・天の製茶園(和紅茶専門店紅葉さんで購入できます。)
宮崎県:
・宮崎茶房
鹿児島県:
・薩摩英国館
他にも多くの地紅茶がありますので、ぜひ探してみてください。
どうすれば地紅茶と出会う事が出来るか
日本で紅茶が作られていることはわかりました。
そして、数多くの地域で作られている事がわかりました。
では、どの様にすれば、地紅茶と出会うことが出来るでしょう。
私達、京都紅茶道部では、以下の方法を取っています。
これらの手順を踏んで、日本国内の紅茶を探す活動をしてます。
ぜひ皆さんのお役に立てていただければと思います。
ネットで検索する
1つ目は、ネットで検索をする、です。
パソコンでもスマホでもなんでも良いです。
ネットで検索をします。
その時、キーワードはこの様に入力します。
「地域名 和紅茶」
例えば、京都で調べる場合は
「京都市 和紅茶」
で調べます。
このようにすることで、このキーワードであれば、京都市で和紅茶の取り扱いがあるところを表示します。
もし、それで足りなければこの様に追加します。
「地域名 和紅茶 茶園」
そうすると、茶農家さんのヒットが多くなります。
ぜひ、お住いの地域名と”和紅茶”で探してみてください。
自分の住んでる地域の道の駅に行ってみる
2つ目は、自分の住んでいる地域の道の駅に行ってみる、です。
道の駅の場所は、Google Mapsなどのサービスですぐに見つかります。
ですが、都市部に住んでいると、比較的遠方にあります。
車などで行くか、公共交通機関で行ける範囲の道の駅を探してみましょう。
なお、関西では、道の駅お茶の京都みなみやましろ村が、駅(JR月ケ瀬口駅)から至近距離にあり、行きやすいです。
お茶のイベントに参加する
3つ目は、お茶のイベントに参加してみる、です。
産直イベントや、ファーマーズマーケットなどでよく見かけられます。
あとは、東京や愛知や京都や大阪などでは、お茶のイベントがされていますのでそちらでも事項茶を購入できます。
毎年、日本のどこかで「地紅茶サミット」という国内最大の国産紅茶のイベントがされています。
2021年から開催が2022年に変更になった『第20回全国地紅茶サミット in 南九州市』などがあります。
最近は、積極的にイベント参加する茶農家さんが増えていますので、地元の屋外イベントを調べて訪れてみましょう。
最後に
「地紅茶」という言葉は聞き慣れない言葉だったと思います。
ですが、この言葉には、「地元で作った紅茶が、まず先に地元で根付いてほしい」という思いが込められています。
例えば、全国的にお土産として有名になってきている石川県の「加賀の紅茶」は、石川県の店舗にてのみ販売しています。
特定の商品を、その地域に訪れることで、手にとって頂くという動機にしてほしい、という考えがあります。
もちろん、前提には、地元の人達に愛される紅茶であることが必要です。
その地域で作った紅茶を、地元の人が知らなくて飲まれていなければ「地紅茶」という理念を達成できません。
ぜひ、「地紅茶」を巡り合ったら、紅茶とともに、その地域を楽しむ事もしてください。
そうすることで、地元で作られた紅茶は初めて「地元の名物」となりえます。
この様に、地元に根ざした紅茶としての地紅茶と巡り合うことを願っております。