三重県の和紅茶についてご存知ですか?
お茶の産地として、三重県が有名だったことをご存知でしょうか。
三重県は、静岡県・鹿児島県に次ぐ、日本第3位のお茶生産地です。
(ちなみに、4位は宮崎県、5位は京都府です。)
上位である静岡県、鹿児島県は緑茶の生産地と同時に、近年では国内の紅茶の生産地としても知られています。
茶葉の生産が多いので紅茶の加工も多くなるのは必然です。
三重県はどうでしょうか。
現在、三重県のお茶は、京都府・滋賀県・奈良県と合わせて「宇治茶」の生産地であると言われています。
ただ、この「宇治茶」の定義が決まってますので、公益社団法人京都府茶業会議所のサイトを御覧ください。
三重県のお茶がすべて宇治茶になるわけではなく、一部は三重県のお茶として流通しています。
例えば、伊勢茶などが挙げられます。
三重県:伊勢茶の振興:https://www.pref.mie.lg.jp/NOUSAN/HP/77019045892.htm
その中で、三重県の紅茶はどのようなのでしょうか。
実は、三重県の紅茶は日本の紅茶の歴史でも非常に重要な位置づけでありました。
現在の紅茶生産につながるボトルネックと言われ、三重県の紅茶無くして現在の和紅茶を語ることはできません。
今回は、三重県の和紅茶についてご紹介します。
三重県の和紅茶の歴史について
ここでは、現在につながる和紅茶の歴史を簡単に紹介していきます。
三重県の和紅茶生産の始まりは、多くの産地と同じ様に、三重県にも紅茶伝習所という紅茶生産の学校のようなものができました。
そして、茶業試験場が開設され、名称の変更や場所の移転を行い、お茶の研究開発がされていきました。
(今もあるっぽい→三重県:茶業・花植木研究室 茶業研究課の概要:https://www.pref.mie.lg.jp/nougi/hp/28918026847.HTM)
三重県における現在の和紅茶につながるターニングポイントはこの茶業試験場から始まります。
紅茶品種べにほまれの里
三重県の紅茶の歴史、ひいては日本の紅茶の歴史そのものを変えるきっかけとなったのは、一人の紅茶生産者の登場によります。
「川戸勉」という方でした。
川戸氏は、昭和22年、戦前の台湾で紅茶生産に従事していました。
戦後、台湾から引き上げて来て故郷の三重県で紅茶の生産を始めました。
その時に、三重県の茶業分場で「国茶C8」という茶品種と出会います。
その「国茶C8」は全国の品評会で優秀な成績をおさめました。
その評価は国内だけにとどまりませんでした。
海外のテスターに評価を求めてみたところ、海外の有名ブランドの紅茶を上回る評価を受けたのです。
この「国茶C8」は、のちに「べにほまれ」と名を付けられ茶農林登録第1号として登録されました。
「べにほまれ」は戦後国産紅茶の礎となっていったのです。
川戸氏の紅茶について
川戸勉氏の「川戸紅茶」は同時に喫茶店も経営をしていました。
それを「オレンジペコー」と言われました。
海外に負けない品質の国産紅茶を飲める喫茶店として知られました。
2018年に惜しまれつつ、閉店された名店でした。
(参照:三重県亀山紅茶:HISTORYより:http://k-benihomare.jp/history.html)
現在の三重県の和紅茶
現在、三重県で有名な和紅茶は2つあります。
- 伊勢の和紅茶
- 亀山紅茶
伊勢の和紅茶は、伊勢茶を和紅茶として加工した紅茶です。
ペットボトルやティーバッグなどとして商品開発され、三重県各地のお土産屋で見ることができます。
亀山紅茶は、「べにほまれ」を亀山の地で再び盛んにしようというワーキンググループの活動で生まれました。
現在、国内の紅茶コンテストや品評会で非常に優秀な成績を収め、日本トップクラスの紅茶として知られています。
三重県の和紅茶の紹介
現在三重県では20ヶ所以上で紅茶を生産されています。
その中でも比較的有名で購入しやすい三重県の和紅茶を紹介します。
特徴が違うものなので、どの様に違うのか飲み比べてみるのも面白いと思います。
伊勢の和紅茶
この紅茶は、三重県の多くのお店で購入可能です。
紅茶として加工する生産量が多いらしく、三重県内主要なお土産屋で購入可能です。
商品は、ティーバッグやペットボトルがメインです。
淹れる手間をかけたくないと言う人は、ペットボトルで試してみるのも良いのではないでしょうか。
味は、「滋納系」で「いわるゆ和紅茶」と言われるような紅茶です。
渋みがなく、やや穀物っぽい香りがします。
ただ、口当たりが優しいので、食べ物のお供にはちょうどいいでしょう。
伊勢の和紅茶~三重県松阪産茶葉100%使用:https://www.m-marche.com/
亀山紅茶
この紅茶は、「べにほまれ」を使って作られています。
始まりは「亀山から始まったべにほまれを大規模に復活させよう」というものでした。
亀山市の茶農家さんが集まり平成24年度(2012年)に結成されました。
2012年は、まだべにほまれの父「川戸勉」さんの川戸紅茶さんがまだ営業されてる時期ですね。
始まりは農家のワーキンググループとして開始され、各農家でべにほまれの紅茶の高品質化を狙って生産を続けられています。
三重県 亀山紅茶:http://k-benihomare.jp/index.html
先にも紹介した通り、尾張旭の国産紅茶グランプリなどで優秀な成績をおさめています。
日本国内の一部の紅茶は海外のトップの紅茶に品質が肉薄していると言われています。
まさしくそのような紅茶の仲間入りをしている紅茶と言えます。
農事組合法人ハサマ共同製茶組合公式サイト:https://kyoukan.biz/
伊達製茶:https://www.facebook.com/marukameseicha/
最後に
三重県はお茶としては目立たない存在です。
それは、圧倒的に静岡と鹿児島の存在感が強いためでしょう。
(静岡県と鹿児島県は年間2万5000tに対して、三重県は5000tぐらいのため)
合わせて、伊勢茶があるとは言え、宇治茶の一部として生産されて、京都のお茶の一部に取り込まれているということがあります。
ですが、和紅茶・国産紅茶で考えると、三重県は非常に重要な生産地であります。
三重県で育った「べにほまれ」は、現在の日本の紅茶の母といえる存在です。
そして、1971年の紅茶輸入自由化直前まで、同じ紅茶品種の「はつもみじ」と合わせて、主力輸出品種として生産拡大が計画されていました。
三重県と言うのは、日本の紅茶という点でいうと、その存在を外せない地域なのです。
今後の三重県の和紅茶について
現在、三重県で和紅茶の生産が再開されつつあります。
ただ、メインは緑茶であり、紅茶は主力ではありません。
他の茶産地と比べて、紅茶を作るペースは遅いと見られます。
ですが、三重県には輝かしい紅茶の生産の歴史があります。
紅茶の生産に関わる研究資料も多く存在しています。
少しでも多くの再発見と、気候を生かした茶生産を行い、再び、全国的に注目される紅茶の産地としてもどってくることを期待したいです。